日本でのIndyCarレースからロサンゼルスに戻ってきて数日後、映画『グリーン・ホーネット』のリメイク版に出演するクリストフ・ワルツのスタントのため、彼のように髪を短くしてヘアカラーをしたよ。この映画にはキャメロン・ディアスや、セス・ローゲン、ジェイ・チョウなどのスターが出ているんだ。丸3日、朝8時から夜中の2時までこの映画の撮影のために過ごした。それが終わって、家に帰って荷物を詰めて今度はベン・アフレックが監督・出演をする別の映画撮影のためにボストンに飛んだよ。これは『The Town』という銀行強盗の映画。ベンが悪役を演じて、僕は車のスタント。ベンのスタントが風邪を引いていた時もあったので、そんな時にはベンのスタントとして何シーンか出演した。昨日はマシンガンでの銃撃戦の後、逃走、そしてカーチェイスというシーンの撮影があったんだ。これが終わったらロスに戻り、11月23日までは映画『グリーン・ホーネット』の撮影さ。この映画はアクションシーンが盛りだくさん、またスタント演技やスタントドライブのシーンも多くて、車で人間に体当たりしたり、高速道路から車で飛び落ちたり・・・と、エキサイティングなシーンが山積みだよ。
僕が次に出場するのはカリフォルニア州・フォンタナで来週日曜に行なわれるNASCARレース。ストックカーに戻ってまたドライブするのが楽しみだなぁ。それが終わったら10月24日には、2002年ソルトレークオリンピックに出場した選手と一緒にNikeのCM撮影。撮影だけでなく、コンテンツの作成も担当しているんだけど、エキサイティングなCMになりそうだよ。
この調子であれこれと忙しくしているから、この間まで日本にいたなんて信じられないくらいだよ。東京やもてぎレース会場でアフィリエイトの皆に会えてとても嬉しかったなぁ。レースではタイヤが外れないように支えているセーフティロックがうまく作動しないというトラブルがあって残念だったけど、もてぎトラックはとても難易度の高いコースでやりがいがあって走っていてとても面白かったよ。いいラップタイムを記録できたところもあったから楽しかったし、それを見守ってくれていたファンの皆にも楽しんでもらえていればいいな、と思っているんだ。レースが終わった後、ダリオ・フランキッティやレースの勝者スコット・ディクソンたちと夕食に出かけたんだけど、彼らが僕の走りについて「第3コーナー、第4コーナーではとても良い走りだった」と褒めてくれたんだ。ただ第1コーナー、第2コーナ、ストレートで時間を随分食ってしまったとも言われたけどね。あと彼らは「もてぎコースは今年1年#98カーが走ったどのコースよりもいいコースだったんじゃないか」ともいっていた。ダリオは女優のアシュリー・ジュードとボストンで一緒に暮らしているから、僕がロスに戻る前に夕飯でも食べる予定だよ。
今週末カリフォルニアで開催されるレースが、僕にとって多分今期最後のレースになると思う。レースが終わったら、さしあたってはいい映画作りをして、家族との時間を大切にし、自分のチャリティを支えてくれているアスリートたちが出場するバンクーバーオリンピックに行くことを楽しみにしているけど、僕の心はもう既に来年、どういうレース展開をしようかということで頭が一杯だよ。
もてぎの観客席でインターラッシュキャップ・Tシャツを身にまとい、旗を振って応援してくれたインターラッシュの皆・・・全てのことが素晴らしい思い出だし、皆が一生懸命応援してくれたことは僕にとって感動的だったよ。どうもありがとう!!
NASCARレースについては追って写真や日記をブログにアップするので、お楽しみに。
Live Free and Fast!
Stanton
IndyCarやNASCARレース、それにハリウッドでのスタントワークの他に、僕には情熱を傾けているものがもう1つあるんだ。それは映画作りやテレビCM作り。
最近自分のディレクターとしてのプロフィールビデオを作ったから、ブログに載せてみんなとシェアしたいな、と思って。この何年か、ずっと作ろう作ろうと思ってきて取り組んではいたんだけど、今年になって日々のレース関係の仕事を少し人に任せられるようになるまで、なかなか出来なかったんだ。僕にとって、映画やテレビCM業界で自分の創造力を発揮できるのは、すごく嬉しいよ。
僕のプロダクションはスポーツに関すること、特に車・トラック、二輪、あとレースカーなんかに特化している会社なんだ。
では、リンクをクリックして、僕の作った動画をダウンロードしてみてね。楽しんでもらえるといいな!
Live Free and Fast,
Stanton
僕は今、父を訪ねてアイダホ州のサンバレーに来ているよ。ここには数日しかいられなくて、すぐにアメリカ東海岸でレース関連ビジネスの用事を済ませに行かなくちゃいけないんだけどね。
そう思ってたら、昨日電話があって、何かと思ったら今こっちで大ヒットしてるテレビ番組「NC-CSI」という番組からだった。うちの兄貴がこのシリーズのディレクターをしていて、金曜日にスタントをしてくれないかって頼まれたんだ。だから、朝のうちにロサンゼルスまで飛んで、夕方にはアイダホに戻ることになったよ。そこから東海岸での仕事までは車で移動する予定。テネシーのナッシュビルに週末までに行って新しい音楽ビデオの制作をし、ノースカロライナ州・シャーロットではNASCARの人と会ってテレビCMについての打ち合わせ。最近、新しい映画制作の話が多くて、色んなところからスタントをしてくれないかっていう話があるんだ。
話は変わるけど、日本のもてぎレースまで時間が迫ってきているね。時間はレースカーと同じくらい速く進んでいくのか、あと6週間で僕は日本を初めて訪れ、インターラッシュの皆にも会えるし、日本でレースをするんだね。信じられないよ。
僕のIndyCarレースチームのスタッフたちは、車のパフォーマンスを向上させるべく日々努力してくれているよ。先週、以前著名なレーシングチーム(KVレーシング、Conquestレーシング)で働いていたアレックス・カストロニスという有名エンジニアの力を借りることが出来たよ。チーフメカニックやレース戦略担当者と同じくらい、腕のいいメカニックはチームの成功に欠かせない存在だからね。チーム3Gでは、オーバルとストリートコースの両方に対応出来る様、着々と実力を蓄えているんだ。
IRL(Indyレーシングリーグ)でのレースは、今もこれからももっともっと面白くなりそうだよ。エンジンや車の仕様を2012年に変える計画をしているらしいし、同じ年には中国での初めてのレースも企画しているみたい。その翌年には世界でもカーレースの盛んなブラジルでのレースも考えているようで、ますます面白いレースが楽しめると思う。アメリカ国内では、アラバマ州・バーミンガムにあるバーバー・モータースポーツ公園を新しいレース場として加えることを計画しているみたいだよ。ここはすごくキレイなレーストラックで、自然にも恵まれているし、実現したらいいなと思っているよ。あとは来年か、2011年くらいにはメリーランド州・バルティモアや、マサチューセッツ州・ボストンも新たなレース会場として加わるかも。これらの都市は、レースビジネスをするにあたってピッタリなところだと思うし、ストリートコースでのレースなんかが出来れば
Indyにしか出来ないニッチマーケットだから、良いだろうな。あと、2011年か2012年にネバダ州・ラスベガスにも進出を考えているようだよ。もちろん、こうやって色んな新しい会場でレースすることになるということは、現在使っているレース会場のうちいくつかは使われなくなる、ということなんだけどね。
僕にとってこれらのニュースはとても刺激的で、これからもIRLシリーズをずっと走っていきたいと思う。目下、今一番したいことは早くレースに戻れるようになること。元気になってきたし、首や背中もそんなに痛まなくなってきた。ただ、僕がレースを休場する間代わりに出てくれるように頼んでしまったレーサーが二人いて、それぞれオーバルが得意な人とストリートを得意とする選手なんだけど、彼らとの兼ね合いもあり、いつ僕が出られるようになるかすぐには決まらないみたいなんだ。ただ、シカゴでのレースには僕が出る可能性が高い、とは言われているよ。あと1-2週間後に決まるみたいだけどね。
はっきりは決まっていなくても、またレース出来るということが分かっているし、スタントのリクエストも多いし、色んなCM撮影のディレクターの仕事もいくつか受けているし、とても幸せだよ。加えて日本でレースをして、多くの日本のインターラッシュの仲間たちと再会できるし、(今度は台湾から来てくれる人もいるのかな)本当に嬉しいし、その日が楽しみなんだ!
Live Free and Fast!
Stanton
最近、また忙しくなってきたんだ。
みんなも知っていると思うけど、先月のミルウォーキーでのレースで怪我をしてからは正直、しばらく自分でもいつ、どうやって復帰できるのか確実なところが見えないでいたんだ。怪我から数日して痛みが取れなかったから、心配になってレントゲンを撮ったんだけど幸い骨折などはしてなかったよ。これは不幸中の幸いだったよ。
この数週間でだいぶ良くなってきて、気分も体調も上向きになってきたから、レース復帰に向けての準備をしながら、ロサンゼルスで日産のテレビコマーシャルで使うシンクロ・ドライブの
撮影をしたよ。偶然にもCM撮影を担当したディレクターは父と僕の大ファンでね。僕の父もCM撮影に参加していて、普段あんまり一緒に仕事をする機会がないから、そういうのもいいものだったよ。
あと先週、アーバインのインターラッシュオフィスにも行ってマーティ・マシューズ氏とGoogleとインターラッシュのコラボレーションについての新しいビデオ撮影もしたんだ。NASCARとIndyCarが撮影用に隣り合わせに並んでいるのを見るのは嬉しかったな。撮影されたビデオは近々Googleのウェブサイトやインターラッシュのサイトにアップされると聞いているから、皆も楽しみにしていてね。
全体的に、背中と首の痛みは随分取れてきて気分も良くなったよ。だからシカゴでのNASCARレースに参戦しようかな、と考えているんだ。シカゴはいいコースだし、街自体も楽しめるいいところだよ。NASCAR・IndyCarの両チームのクルーたちは、僕がレースに出れないこの期間に
これからのレースに向け、一生懸命整備を進めてくれているよ。僕が怪我をしている間はチームとして出場記録を絶やさないために代わりのドライバーが参戦してくれているけどこのまま調子がよければ、来月のいつかにはIndyCarにも復帰して早く走りたいよ。
でもIndyCarシリーズに出る前には体調を完璧にしておきたいと思っているんだ。だからまずはNASCARシリーズや、危険なスタントを伴わない映画撮影などから始めるつもりだよ。だんだん9月のもてぎでのIndyCarレースが近づいているね。アフィリエイトの皆に会えるのを楽しみにしているし、皆も超カッコイイインターラッシュIndyCarを思う存分楽しんでね。
僕は今、友達や家族が沢山いるカリフォルニア・マリブにモーターホームを停めて、海を見下ろしながら休養に専念しているんだ。新しい映画スタントやCM・音楽ビデオのディレクターについての話がいくつかあってそういう交渉を進めたりしつつね。あと数週間で、今後どうするかをはっきりと決めていこうと思っているから、またその時はお知らせするね。
Live Free and Fast,
Stanton
僕は先週、ウィスコンシン州・ミルウォーキーでのIndyレースに参加していたよ。ミルウォーキーのレース場はとても面白いコースだし、走るのを楽しみにしていたんだけど結局はレースに参加出来なかったんだ。金曜のプラクティスの時からマシンの調子がおかしくて、ピットストップを何度も繰り返して調整してたんだ。そうしたら、ちょっと調子がよくなった感じがしてラップタイムも上がってきて、一時は10位にもつけた。でもマシンの調子がよかったのは結局19周くらい。その間は少しでも速く走ろうとタイムを刻んでいたんだけど、突然、第二コーナーを曲がろうとしたとき、車が壊れて、コントロール不能になってしまったんだ。
これは全く予測不可能で、僕は壁に後ろ向きで激突し、マシンの右側を壁に強く擦りつけながら止まった。残念ながら、事故の衝撃が強すぎてこのクラッシュから復旧することは出来ず、先週
末のレースには全く出られなくなってしまった。僕自身もこの衝撃で背中を痛めてしまい、今は様子を見ているところ。だから来週のIndyCarレースを走れるかどうかも未定なんだ。僕も今より背中の痛みがとれていなければ参加は難しいからね。こういう事故があると、もしかしたら数レース走れなくなってしまうかもしれないし本当に残念だよ・・・
でも僕はまだ、次のレース(テネシー州のナッシュビルでのNASCARネーションワイドかテキサス州で行なわれるIndyCarレース)に出るという希望を捨てずに持っているよ。とりあえずあと数日待って、自分の体調を見極めるつもり。
Stanton

ここ数日間は、新しいスポンサーを探したり、新しいマシンの調整に必死だった。予選突破に必要なスピードを出すために、チーム一丸となってマシンと向き合っていたよ。車の空気抵抗に関することは、僕の得意分野でもあるので調整を手伝ったよ。ただ、大事なのはそれよりもマシンのセットアップ。この1週間は随分調子に浮き沈みがあった。すごいいい走りが出来ているな、と思った次の瞬間には、スピードが出なくなってしまうこともあったんだ。大抵原因は自分たちが思っている通りにマシンのセッティングが出来ていなかったり、間違った変更が加わってしてしまったことにあったんだけどね。
木曜日にマシン表面の微妙な形を最初から全部変更しなくちゃいけないことになって、それにはかなり参ったけど、今までのレースを通し、マシンの設定についての知識は随分ついてきた。自分たちの思うような設定が出来ないときがあってもイライラせず、レース場に出たら集中することが肝心って思っている。今週はそれがよく出来たよ。今日の日中はやるべき方向が見えていたにも関わらず、その方向に集中できなかったので計画通りに進まなかった。マシンに多くの変更を加え、夕方遅くに予選に参加したけど、天候もあまりよくないし風も強かったので「今日は焦らず、明日に向けコンディションを整え、いかにしてベストタイムが叩き出せるか考えなが
ら走ろう」と思っていたんだ。

これまでの全ての努力が報われるか、Indy500に出場できるか、ということは全て明日にかかっている。多分、今日で決まるチームもいくつかあるんだろうけど、現在14チームがIndy500出場を目指して残り11のスポットを争っている。明日はどこのチームもいつもよりスピードを上げてくるだろうし、多少のムリもしてくるはず。僕のマークしたスピードは今のところ時速219.4マイル(353.1 km)。明日はもっと速く走れると思う。順位表を見ると、僕の1つ上、2つ上のチームとの差はわずか時速0.045マイル(0.072キロ)、本当に小さな小さな差なんだ。

明日、またチャレンジできるのが楽しみだよ。でも、楽しみというだけでなく、不安も皆の頭をかすめることがあるよ。今あるポジションに甘んじていたり、今までのスピードでよいと思っていたら、明日は乗り切れない。一夜にしてチームが完璧になるなんていうことはないけど、ドライバーの僕も車のことを完璧に理解し、クルーたちもベストな車の設定について日々たゆまず学んでいかなくちゃいけない。そうしなくちゃ勝てないんだよね。もちろん、勝つためには睡眠不足で倒れるスタッフが出ないように、もっとフルタイムの従業員も雇わなくちゃいけないよね。僕たちのクルーは本当によく働いてくれて、このプログラムに必死でかけてくれている。明日、今までの皆の努力が報われるといいな、と願っているし、そうなると信じて頑張るよ。
Stanton

会場に到着、車を停めてレース会場へのゲートをくぐると、まるで、「ベストを尽くさないものは、ここから先は通さないぞ」とでも言っているかのように高いそびえるコンクリート製のチームガレージが立ち並んでいる。そこをずっと進んでいくと僕らが眠っている間は誰も居なかった会場に、レーススタッフやファンたちが埋め尽くしていた。一歩一歩、我らがチーム3Gのガレージに向かう、98番カー、ドライバー名:スタントン・バレット, Interush/Curb/Candlewood Suiteインディカーチームと書かれた表札が見える。ここが自分のいるべき場所、という感じがして気分がいいよ。
チームガレージのドアを開けると、僕たちのクルーが手を休める暇もなくマシンと向き合っているのが見えたよ。皆、どんな小さなことにでも注意を向けて、マシンに触れ、チューニングをしている。ほんの小さなことも見過ごさず、どうやったら必要なスピードを上げることが出来るようになるか考えている。僕自身もマシンと向かい合い、マシンにあたる空気抵抗を考え、サスペンションの周りを特製テープでカバーしたりした。空気抵抗を考えて、メカニックたちと一緒にマシンの調整をしていくのは、僕の大好きな分野でもあるんだ。自分が乗るマシンの調整をレーサーも手伝うことは、僕にとってはごくごく自然のことかな。マシンを触っていると、昔、車一台しか入らない小さなガレージで1人で朝から晩までマシンを調整して、ふと次の朝、マシンのそばで目を覚ます、という生活をしていた頃のことを思い出すんだ。

「今日最初の一周を、お昼前にあっという間にクリア。ギアをチェンジするたびに、スピードがグングン上がっていく。」そんな自分のレースを想像した。・・・しかし・・・ふいに、現実に引き戻される。「実際そんなに夢のようにいくのか?」。いや、去年の10月の設立以来、このレースのために進んできた。自分たちのしていることを信じ進んでいこうと思う。今日は風も強いから路面もツルツルでスピードが出にくい。でも今日の終わりには、集中して努力していれば想いは叶う、他のチームとの差も縮まるっていうことを証明したい。そして、Indy500に出場する33人の枠に入るように頑張るよ。
スタントン

今日は僕にとってもチームにとっても、いまいちの日だったよ、色んな意味でね。皆にフラストレーションがたまってしまったというのかな。最終的にはクルーチーフのオーウェンが皆を諭したんだ。「1週間先のことを考えて、心配しても仕方がない。まずは目の前にある目標・課題に集中するのがベストだ」って。

クルーたちやスピードチャートを見つめているオーナーたち、その他全員の「もっと速く走ろう」と焦る気持ちが、成功に不可欠な集中力を阻害する結果になっているかもしれない。ここ一番の大勝負だから、皆の精神的な緊張や、要求水準もエスカレートしているんだ。でも今日一日のプラクティスの結果、新しい方向性も見えたしIndy500に必要なスピードについても掴めてきた。木曜日にはナンバー98IndyCarの新しいセットアップを完成させるため頑張ろうと思っている。それまでのネガティブな要素や感情を吹き飛ばして、Indy500に向かって超高速で突っ走るつもりだよ。

Stanton
今朝はレース会場を整備するジェットドライヤーの音で目覚めたよ。世界一を競うレーサーたちと、その超高速マシンのため、ここでは整備に余念がないみたい。その音で自分がどこにいるのかをふと思い出し「これは夢じゃないんだ!」って現実に引き戻された。僕のキャンピングカーの中を見回し、近くには愛犬の姿、携帯を見るといつもどおりメッセージの山。いつもの一日が始まったって実感するし、今日も頑張ろうと思ったよ。
深い眠りから覚めて、耐火性のレーシングスーツに着替える。オークレーの靴を履き、水をゴクリ。ドアの方に向かいながら、愛犬の頭をなでて、ガレージに向かう。この瞬間、僕は新しい一日どんなことをしようか色々なことを考えているんだ。準備は万端か、今日やるべきことは何か、ベストを尽くすにはどうしたらいいか、と考え「いや、自分の準備は万全じゃなくちゃいけない。なにせこれは僕の仕事だし、これが自分の生きる道なんだから」、と気合を入れる。レースに対しての情熱はいつも有り余るほどある。しかしこれは天下のIndy500、気合が入るよ。
チーム3G の7番、8番、9番ガレージへと進む。チーム3Gには、4人の社員とたった1人のオープンホイール新人ドライバーだけ。どうやって,他の巨大なチームと闘っていくんだろう?ハート、魂、情熱、小さなことへのこだわり、強い信念・・・これらが僕らの持てるもの。限界に挑戦って感じだな。98番カーをゴルフカートに乗って牽引しながらも、自分たちがどこまで出来るのか、留まるところをしらないよ。「スタントン頑張れ!」「お前なら出来るぞ!」「スタントマン・スタン、イェーーーイ」とか、色んな歓声を耳にして思わず笑みがこぼれる、それを力に頑張るつもりなんだ。Indy500、この素晴らしい試合の一端を担っていると思うと自分たちのしていることに誇りを持てるし、本当にラッキーだと思うよ。
今日は昨日からの続きで、新人テストにパスするために平均時速210マイル(338キロ)を保ったままあと7周すること。と、考えていたところへクルーチーフからの無線連絡で、第4段階もパスしなくちゃいけないって言われたよ。それは何かというと、平均時速215マイル(346キロ)で10周以上走ること・・・。何??!!まだ眠い目をこすりながら、これは夢であって欲しい・・・と思ったけど、いや、これはIRLからの現実の要求水準だ。空気も湿っぽく、高スピードをたたき出すのには最高のコンディションとは言い難い中、215マイル??厳しいよ。一昨日は時速221マイル出せたマシンも、この環境では217マイルくらいがせいぜいじゃないか・・・?どうやって平均210マイルを出したらいいのか、頭の中でずっと考えたよ。多分、新しいファイヤストンIndy500タイヤを装着することが一番だろうな。
必要条件を満たしたら、今週末のレースの予選に勝ち抜くことを考えなくちゃね。僕のクルーたちは一日中ずっと、マシンをどうやって調整したらいいか考えていてくれているんだ。それらの調整に体を委ね、僕はマシンを運転する。試合中のドライバーの動きは予測不可能、マシンだって自分の言うことを聞いてくれるとは限らない、だから大切なのは集中力。些細な情報を蔑ろにせずハンドルを握るんだ。全身の神経を集中して、IndyCarが教えてくれる小さな情報に耳を傾ける。
今日は平均時速218マイル(351キロ)を達成したよ。今までの自分の最高記録なんだ。日記はここでおしまいにするけど、また明日以降、新しい一日が始まる・・・レースへの情熱と、全身全霊でレースに取り組む精神は毎日一緒だけど、日を改めるたびに新たなスピードの境地・目標を見つけて達成していこうと思うんだ。
スタントン
今日はあいにくの雨、空も暗いし全体的にみんなスローペースで動いている感じかな。もちろん僕が期待していた天気とは正反対、他のドライバーも皆そう思っているんじゃないかな。一日が終わったけど、新人オリエンテーションで第一にクリアしなくちゃいけない「スピード測定」に必要な最低ラップ数を、誰もこなせていなかったようだよ。ましては「平均時速210マイルを超えるラップを10周」という第3フェーズまでクリアすることなんて到底難しかったよ。
クルーたちはまるで冬支度をするアリのように忙しく働いていたけど、悪天候もあってなかなか思うように課題がクリアできなかったみたい。朝9時を過ぎてゲートが開いたけど、トラックに出ようとする車はあんまりなくて、レース当日なら30万人の観客を収容する巨大スタジアムの観客席をのんびりと歩き回るのは、なんとも気持ちがよかったよ??。理由は上手く説明できないけど、この場所は誰にとっても特別な存在みたい。会場で会う人会う人みんなそう言うよ。今、INDYと名のつくもの全てについて学びたい気分だよ、何がこんなにもレーサー・ファンの心を熱くさせ、尊敬と賞賛を集めるんだろうって思って。
毎日、マシンに初めて足を踏み入れ、狭いコックピットにの中のシート(僕は「ホーム」って呼んでるけど)に座る。シートベルトをして、ゆっくりとハンドルを握り締める。ここで深呼吸。焦点を定め、スタートボタンを押す、クルーからのOKサインを見て、ライト・オン。ギアを1速に入れて、クラッチをはずす。エンジンの音が響く、この音がレーサーや観客を魅了するんだ。ギアを入れて加速する、時速79マイル、132、150、189、199、203・・・どんどんマシンの調子が上がる。よし、この感じだと、さっき調整した成果が出ているんだな。第1周目の平均時速は199マイル、2周目は207マイル。ここらでスピードを上げていくか!211、210、211・・・よし、規定の平均時速210マイルを10周中3回超えたぞ。広いカーブの第3コーナーと第4コーナーでスピードを上げて220マイル、第1-2コーナーは211マイルで通過・・・タイミングもペースもつかみ始めているぞ。
ん?前方に何かある。懐中電灯を振って何かを合図している車がいる・・・でも警告のシグナルは見えないし、車の電灯もついていない。せっかく今いい調子で進んでいるのだから、天気がこれ以上悪くなる前に今日はもっと走らせてくれよ・・・と願いながら、とりあえず前に進む。しかし、それも長く続かなかった。しばらくすると黄色の警告サインがあちこちで点灯し始めてた、残念。時速218マイルから一気に減速して第3コーナーを曲がり、ピットロードを通り、プラクティスの時に使う入り口まで戻ったよ。「なんで急に?!??」と思ったけど、その理由はすぐに分かった。僕のヘルメットのにポツリポツリと雨が滴り、それが強風ですぐに吹き飛ばされてしまったんだ。うーん、どうして雨が降るんだ!!
この日のレースは雨が振って終了、結局この雨は夜まで続いたよ。ファンにとってもレーサーにとっても、待ちに待ったIndy500の公開練習初日にふさわしい天気じゃなかったよ。1日目がこんな風に中途半端に終わってしまったから、残された時間は限られている。その時間で最低走らなくちゃいけないラップ数を満たして、1周210マイル平均をどんどんたたき出さないと。僕の場合は210マイル平均をあと最低6周しなくちゃ。また明日、仕切りなおしだね。明日また他のレーサーたちと話せるのが楽しみだな、やはり励まされるし、アドバイスもくれるんだ。
明日ももう一回僕の「ホーム」のコックピットに登って、スピードをたたき出すぞ!
スタントン