今日はあいにくの雨、空も暗いし全体的にみんなスローペースで動いている感じかな。もちろん僕が期待していた天気とは正反対、他のドライバーも皆そう思っているんじゃないかな。一日が終わったけど、新人オリエンテーションで第一にクリアしなくちゃいけない「スピード測定」に必要な最低ラップ数を、誰もこなせていなかったようだよ。ましては「平均時速210マイルを超えるラップを10周」という第3フェーズまでクリアすることなんて到底難しかったよ。
クルーたちはまるで冬支度をするアリのように忙しく働いていたけど、悪天候もあってなかなか思うように課題がクリアできなかったみたい。朝9時を過ぎてゲートが開いたけど、トラックに出ようとする車はあんまりなくて、レース当日なら30万人の観客を収容する巨大スタジアムの観客席をのんびりと歩き回るのは、なんとも気持ちがよかったよ??。理由は上手く説明できないけど、この場所は誰にとっても特別な存在みたい。会場で会う人会う人みんなそう言うよ。今、INDYと名のつくもの全てについて学びたい気分だよ、何がこんなにもレーサー・ファンの心を熱くさせ、尊敬と賞賛を集めるんだろうって思って。
毎日、マシンに初めて足を踏み入れ、狭いコックピットにの中のシート(僕は「ホーム」って呼んでるけど)に座る。シートベルトをして、ゆっくりとハンドルを握り締める。ここで深呼吸。焦点を定め、スタートボタンを押す、クルーからのOKサインを見て、ライト・オン。ギアを1速に入れて、クラッチをはずす。エンジンの音が響く、この音がレーサーや観客を魅了するんだ。ギアを入れて加速する、時速79マイル、132、150、189、199、203・・・どんどんマシンの調子が上がる。よし、この感じだと、さっき調整した成果が出ているんだな。第1周目の平均時速は199マイル、2周目は207マイル。ここらでスピードを上げていくか!211、210、211・・・よし、規定の平均時速210マイルを10周中3回超えたぞ。広いカーブの第3コーナーと第4コーナーでスピードを上げて220マイル、第1-2コーナーは211マイルで通過・・・タイミングもペースもつかみ始めているぞ。
ん?前方に何かある。懐中電灯を振って何かを合図している車がいる・・・でも警告のシグナルは見えないし、車の電灯もついていない。せっかく今いい調子で進んでいるのだから、天気がこれ以上悪くなる前に今日はもっと走らせてくれよ・・・と願いながら、とりあえず前に進む。しかし、それも長く続かなかった。しばらくすると黄色の警告サインがあちこちで点灯し始めてた、残念。時速218マイルから一気に減速して第3コーナーを曲がり、ピットロードを通り、プラクティスの時に使う入り口まで戻ったよ。「なんで急に?!??」と思ったけど、その理由はすぐに分かった。僕のヘルメットのにポツリポツリと雨が滴り、それが強風ですぐに吹き飛ばされてしまったんだ。うーん、どうして雨が降るんだ!!
この日のレースは雨が振って終了、結局この雨は夜まで続いたよ。ファンにとってもレーサーにとっても、待ちに待ったIndy500の公開練習初日にふさわしい天気じゃなかったよ。1日目がこんな風に中途半端に終わってしまったから、残された時間は限られている。その時間で最低走らなくちゃいけないラップ数を満たして、1周210マイル平均をどんどんたたき出さないと。僕の場合は210マイル平均をあと最低6周しなくちゃ。また明日、仕切りなおしだね。明日また他のレーサーたちと話せるのが楽しみだな、やはり励まされるし、アドバイスもくれるんだ。
明日ももう一回僕の「ホーム」のコックピットに登って、スピードをたたき出すぞ!
スタントン
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