
2008/05/01
ナスカー史上初めて、チームのオーナーでもある一人のドライバーが実の父にレース参戦を依頼しました。彼らはチームメイトであるのと同時に、ライバルとなるのです!
このほど、ハリウッド伝説のスタントマンであるスタン・バレット(64歳)が息子であるスタントン・バレット所有のチームで、ドライバーとして再度ナスカーに参戦すると発表して世界中のオートレースファンを驚かせました。それは、4月20日開催のナスカー・メキシコ・ネーションワイドで実現する予定でした。
スタントンは偉大な父はまだ現役の力があると誰よりも信じています。「僕はどうしても父にレースに参戦してほしいし、いい結果が出せると期待しているんだ。これまでもまったく衰えを知らないし、何より凄い選手だからさ」。スタントンはこうも言っています。「スポンサーが僕たち父子がレースに参戦できるようサポートしてくれて本当に感謝している。映画のセットの中でともに過ごした楽しい時間を思い出すよ」。また、父スタンもこの素晴らしいチャンスを前に「人生どこで何があるかわからない」と語っています。
スタン・バレットのキャリアは、スタントンのゴッド・ファーザーでもあるポール・ニューマンやスティーブ・マックイーンら、往年のハリウッドスターたちのスタントマンとして始まり、そして、カーレースの世界でも同様に伝説的存在となります。それは1979年、スペースシャトルの滑走路を、音の伝導より早い車で、わずか16.8秒、なんと時速1182キロで走り抜けるという偉業を遂げたためです。この車はハル・ニードルハムの出資により実現され、今でもスミソニアン博物館に所蔵されています。また、ニードルハムはナスカー・ウィンストンカップシリーズで、スタンが所属するスコールバンディットチームのスポンサーでもありました。
スタントンはそんな父を見ながら、自然とスタントマンやナスカードライバーの仕事を選びました。今ではナスカーの中でも数少ないインディペンデントチームのオーナーであり、またドライバーでもあります。1993年にはコンコルドで初優勝、トップ3入賞9回、13回のレースでポールポジションを獲得しました。1999年以降、ネクステルカップに22回参戦しています。そして、彼の輝かしいキャリアはレースとどまらず、ハリウッドのスタントマンとしても名を馳せています。出演作は、スパイダーマンシリーズをはじめ、バットマン、ジュラシックパークなど多数です。彼の枠にはまらない人生観から、「究極のスポーツを究極に極めた人」と評されることもしばしばです。
今回メキシコでの練習走行では、スタンは自分のレーシングカーをテストし慣れることに力を注ぎました。「ひどく苦しめられた」と言うように、バレット親子はシステムやブレーキなど、さまざまな問題点に直面しました。それでも父と子は「世界が終わるわけではない」と最善を尽くしました。ところが、2回目の練習走行で、最近の事故で痛めたスタンの足が悪化してきたため、やむを得ず別のドライバーを立てることにしました。
レースの結果は、最初の30ラップは順調だったものの、車両のトラブルで31号カーは38位、スタントンの30号カーにも25ラップ付近でバッテリーのトラブルが発生。ピットに入り、バッテリー交換を行うも状況は悪化する一方でした。「ロードコースは僕の最も得意とするところで、(トラブルが発生しても)挽回し、先頭集団に追いつくことができた。コーナー周りも完璧だったけど、バッテリーが落ちて、ファンも動かないからブレーキが駄目になってしまったんだ」とスタントンは振り返っています。結局、43台中30位でフィニッシュしました。
メキシコではハプニング続きでしたが、バレット親子はすでにカナダ・モントリオールで8月2日開催される次のナスカーロードレースに向けての準備を始めています。再度、父子そろってインターラッシュレーシングチームで走ることを実現しようとしているのです。そのときはもちろん、スタントンが30号カー、歴史上最も優れたドライバーの一人であるとスタントンが慕う父・スタンは31号カーを運転します。



